意識しないものが見える人間の目。
迂闊にも画廊に足を踏み入れてしまいました。
勿論タダで店を出る事は叶わず。
全く興味のない現代作家の絵葉書(印刷)を1枚2000円で2枚購入してどうにか退店させてもらいました。わかってたのに・・・。
ただ、そこでひとつ面白い経験をしました。
手描きとシルクスクリーンを見分ける目
表から見える場所には特殊印刷を施されたクリムトやミュシャの美麗なポスターが展示され、それに惹かれて入店してしまったのが運の尽き。
案内された2階では個性も興味も感じられない現代アートが数名分並び、販売員の女性に延々営業される羽目に。
そしてその会話の中で、
「しいて選ぶならどの作品がお好みですか??」
と聞かれたので
「どれも好みではありません。」
と答えました。嘘ではありません。本当に魅力を感じなかったのです。
ただ1点、値札がつけられていない作品があり、それはとてもシンプルなタージマハルと空の風景画でしたが他の作品に比べれば私の好みの色彩でした。
すると、実はそれは原画なので他のシルクスクリーン(複製)とは違うと言われ、そこで初めてそれだけが『人間が直接描いたオリジナル』であると知ったのです。
驚きました。
芸術に明るい人であればその違いを見分けることは簡単なのだと思います。
けれども私は(少なくとも私の表層意識では)その区別はついていませんでした。
違いを認識できていないにもかかわらず、オリジナルだけを美しいと感じていたのです。
それはとても不思議な感覚でした。
確かに人間の目は高性能高精細であることは疑いようのない事実として広く知られています。
つまり人間の瞳は、自分自身が思っているより実際は更にはるかに多くの事を視覚情報として認知処理しているのかもしれません。
人を好きになる時に「よくわからないけど好き」という理由がなりたつのも、こういう、自分では認識できていない部分で感知していることがあるからなのかなぁと思いました。
で、今日の教訓。
『画廊には金輪際近づくな!』
判り切っていた事ですけどね…_(:3」∠)_